先進医療

  

症例5:イヌの股関節形成不全と再生医療

病気について

イヌの股関節形成不全は、生まれつき股関節の形状に問題がある場合の他に、形状は正常に近いけれども関節の緩みが大きい場合に、時間の経過とともに著しい関節の変形をもたらし、歩行に支障をきたす病気です。レトリバー種などの大型犬に多い疾患ですが、大型犬以外の犬種や猫にも見られます。しかしながら、体重の重い大型犬では、特に関節炎に伴う痛みが重度となり、歩行困難となるようなケースでは飼い主様の負担も非常に大きくなります。また、関節そのものを完治させることは、人工股関節に置換する手術を行うなどの他は非常に困難です。

症例と治療法について

本症例は、股関節形成不全から関節の変形をきたし、強い痛みを伴っていた老犬の例です。かかりつけの病院で消炎鎮痛剤など内科的な治療を行っていましたが、痛みの制御が難しく、歩行も改善しませんでした。また、高齢のため人工股関節の手術も難しいと判断されたため、当院では関節内部の炎症を制御し、症状を和らげるために幹細胞移植による治療を試みました。
今回は、皮下脂肪から幹細胞を採取して培養したものを関節内に直接注入しました。

結果とまとめ

本症例では幹細胞移植を1年3ヶ月ほど間隔を開けて2回行っていますが、1回目と2回目の投与の間で症状は改善され、飼い主様のお話では、鎮痛剤を使う必要もなく、元気に過ごせたそうです。
関節の変形を伴い、強い炎症のある症例では、関節そのものを治癒させることは困難であり、通常痛みの程度に応じて消炎鎮痛剤や理学療法などを行いつつ痛みの緩和を行いますが、この症例では、幹細胞移植によって関節の炎症が治まり、長期に渡って安定した状態をもたらしてくれたといえるかもしれません。

図:

幹細胞の関節内移植は鎮静化で行う、痛みを伴わない処置です。通常レントゲンで関節を確認しながら図のように関節内に注射します

図:

脂肪組織から分離・培養された幹細胞

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