先進医療

  

症例3:イヌの滑膜肉腫と免疫細胞療法

病気について

滑膜肉腫(関節のがん)は比較的まれな腫瘍で、イヌの場合主に四肢の関節に発生します。一般的な治療は患肢の切断手術と抗がん剤の投与ですが、発見された時点で治療をしても本症例と同じ病期の場合、平均的な生存期間は7ヶ月といわれ、完治は非常に難しい病気といわれています。

症例と治療法について

本症例では、前足の肘の部分に腫瘍がありました。他の病院で検査を行った結果、悪性腫瘍が疑われたため、断脚手術を行い、病理検査で滑膜肉腫とわかりました。この後抗がん剤治療を勧められた時点で、それ以外の選択肢を探す目的で当院に来院されました。 当院で行っている免疫療法でこの子が選択可能かつより効果的にがんの転移を予防できる可能性のある方法として、特殊な活性化リンパ球の治療(ゾレドロネート活性化リンパ球)を行いました。この治療は一度に投与できるリンパ球の数は少ないものの、がんと闘う能力が一般的な活性化リンパ球よりも高いリンパ球を利用するものです。

結果とまとめ

本症例では2年の間にこの治療を39回行い、定期的に検査をさせていただきましたが、その間ワンちゃんの状態も良好で、がんの転移は見られませんでした。ワンちゃんのがん治療では、手術で病巣を取り除いた後2年の間に再発や転移がなければひとまず完治したものと考えますが、本症例でも2年間の免疫細胞療法を終えて、治療は終了しました。
生存期間の中央値が7ヶ月であるという滑膜肉腫の症例で完治できたのは、最初に行った手術が適切であったこと、さらに特殊な活性化リンパ球療法が功を奏して体内に残っていたがん細胞を効果的に攻撃することによって、再発や転移を抑えてくれた可能性があるものと考えられます。

図:

一般的な活性化リンパ球療法で利用されるリンパ球(抗CD3抗体刺激で培養したリンパ球)は、抗原提示細胞からのがん特異的抗原の提示がなければがんを認識できません。一方今回用いたリンパ球(ゾレドロネート刺激で培養したリンパ球)は抗原提示を必要とせず、がん細胞が比較的共通して持っている分子構造などに反応してがんを攻撃することができます。今回の症例のようにがんワクチンを利用できない場合に特に有効と考えられます

~飼い主様からの声より~

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