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先進医療へのあくなき挑戦〜ヒトの医療との共同研究と実績〜

当院が参加したNEDOプロジェクトにおいて、東京女子医大・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設(TWins)内に設置された「インテリジェント動物手術室」です。

ヒトとイヌの遺伝子は実はとてもよく似ていることが、遺伝子解析の結果分かってきています。
それと共に、ヒトとイヌのガンも、発症メカニズムなど多くの面で共通性があることが判明しています。
このことはすなわち、ヒトのガンに対する治療法は、その多くがイヌにも適用可能性があることを意味しています。

でも動物の医療は、残念ながら最先端のヒトの医療に比べて同じレベルで進んでいるわけではありません。
また、ヒトの医療と動物医療の技術的な交流も、それほど活発ではないのが実情です。

ヒトも動物も、共に生きる家族にとって、守りたい大切な命であることは同じ。
だからヒトの医療と動物医療が協力し合うことで、ヒトに対する進んだ医療技術を動物にも適用できるメリットだけでなく、相互に医療技術の発展や医療機器の質の向上に繋がる「WIN―WIN」の関係を創る―――そのことこそが、私たちが長きに渡って挑戦し続けている研究活動のテーマなのです。

東京女子医科大学との共同研究活動

東京女子医科大学(以下「女子医大」)との共同研究活動は、2007年より独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成により最先端医療機器の開発等を目的として組成したプロジェクトに、女子医大の共同メンバーとして当院が加わったことから始まりました。
それ以降、プロジェクトの形態を発展的に変えながら現在に至るまで活動は継続し、先進的な医療機器・技術の開発と実用化の面などで数々の成果を挙げています。その代表的な例をご紹介します。

1. インテリジェント動物手術室による脳腫瘍手術

インテリジェント手術室は、手術室にMRIを備え、ナビゲーション技術や最先端の超音波技術などをフル活用できる最先端の手術環境です。この手術室で行った当院患者であるイヌの脳腫瘍手術が過去に既に5例あります(平成25年末現在)。
手術室にMRIを併設することは、室内の全ての設備や機器、器具が磁気対応でなければならないなど、その実現には非常に高いハードルがありますが、NEDOのプロジェクトにおいてそれらの困難を克服し、この優れた手術環境を実現することができました。
ここで非常に高い役割を担うのが、術中に最新のMR画像を基に患部の位置を3D等で特定する高度なナビゲーション技術です。
この技術により、目視では正常な脳細胞との境界線が見分けにくい脳腫瘍の位置を精度高く特定することができ、摘出率の向上=限りなく全摘出に近い手術を可能とします。
脳腫瘍は摘出率を高めることが生存率を高めることに直結するといわれています。
この「目で見るよりも正確にわかる」ナビゲーション技術により、正常な脳を傷つけることなく腫瘍に到達し、より高い摘出率を実現できる―このことが、我々が掲げる「All Care」理念を高い次元で具現化させるためにたどり着いたひとつの頂なのです。

手術前と手術後の脳のMR画像

手術前

中央上手の白い箇所が
脳腫瘍です

手術後

白い腫瘍部分が除去され
ほぼなくなっていることが
分かります

この写真のワンちゃんは、脳腫瘍手術が終了して3時間後に飼い主を認識し、歩行することができました。個体への負担をできるだけ軽減できる優れたインテリジェント動物手術室で手術を行ったメリットが顕れた実例です。


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2. 研究活動からの技術的成果

研究活動を通じて実現・活用可能となった諸技術的成果は、ナビゲーション技術以外にも様々なものがあります。

ビデオアノテーションシステム

このシステムは、手術室にカメラと執刀医が見るディスプレイを、また更に手術室以外にも同じ映像を映す別のタッチパネルディスプレイを設置し、指導医がディスプレイを通じて情報を共有すると共に、ペンなどを使って執刀医側のディスプレイに指示を出すことができるシステムです。
今まで指導医が執刀医に対して指示を行うには、患部を手術室で直接診る必要がありました。しかしこのシステムでは、遠隔地でも執刀医と同じ術野を映像で見ながら、画像に必要な情報を直接書き込む形で指示を行うことができます。このことは、指導医による、より的確で分かりやすい効果的な手術支援を可能とします。
また、臨床経験を重ねることで習得・鍛錬するしかない外科技術を、術中により分かりやすく指導できることで、円滑な手術トレーニングと技術向上に繋がります。

アノテーションシステムを用いて指示をする様子。切除すべき部分などをモニターに直接ペンで書き込んで、リアルタイムで指示情報を執刀医に視覚で伝えることができます

OPECT(オペクト)

オペクトとは、Microsoft社製のゲーム機「Kinect(キネクト)」を活用した非接触型の画像操作システムです。手術中の画像確認の手間を解消し、手術の効率化を実現します。
今までは、術中に画像を見たいとき、助手に指示して画像を出してもらうか、執刀医が患者から離れて自分で操作するといった作業が必要でした。これは実は術中のリズムを乱し、ロスやストレスのもとになります。
それが、OPECTによって、執刀医が画面に触れることなく手をかざしたり、振ったりすることで、画面表示の切り替えなどの操作ができます。これにより、執刀医が患者から離れることなく施術に必要な画像やデータなどをすぐに参照することができ、効率的な手術が可能となります。

超音波エラストグラフィ

超音波エラストグラフィは、組織の硬さをリアルタイムで画像化する世界初の超音波診断法です。通常のエコー検査と同様の検査で、体に負担を掛けずにしこりの硬さを画像化することができます。
力を加えたとき、柔らかいものは大きく形を変えますが、硬いものはほとんど変形しません。その変形の程度を色で画像化する技術がエラストグラフィで、周囲よりも硬い部分は青く表示されます。現在、ヒトの医学では乳がんの診断などに応用され、その有用性が示されています。 獣医学でも同様に、がんの早期発見につながると共に、動物たちにとって負担となる針生検などが少なくなることが期待できます。

左の色がついた画像がエラストグラフィ画像です。
青く映った部分が硬い部分です。

超音波エラストグラフィの
検査機です。


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終わらない挑戦~収束超音波・ガン治療の方向性~

メスを使わない手術、切開しない手術が実現すること。外科医にとってメスが不要となる日が外科技術の究極のゴールです。それを実現するためのひとつの鍵となる技術が収束超音波です。
私たちが取り組む女子医大との共同研究も、脳外科手術を含めたあらゆる手術において収束超音波を実用化することを最終目標として立ち上げられました。
収束超音波治療とは、MRIの検査を行いながら、超音波発信装置から超音波を一点に収束させて患部を焼き切る方法です。開腹手術と異なり、他の部分を傷つけることなく患部だけを除去できるため、侵襲(肉体への負担)がとても低いことが特徴です。また抗癌剤や放射線治療に見られるような副作用もほとんどありません。既にヒトの治療では子宮筋腫や乳がん、良性乳腺腫瘍の治療などで実用化されています。
我々の共同研究プロジェクトでは、ナビゲーション技術や優れた超音波技術を併せることで、より精度の高い収束超音波治療を実現させることを目指しています。

またガン治療全般においても、鳥取大学農学部獣医学科教授の岡本芳晴先生との取り組みにおいて、既にその成果を実用レベルの治療に活かしている免疫療法や温熱療法(PHT)などに加えて、現在では「ICGリポソーム」といった新たな療法の探求にまで繋がっています。

免疫治療、温熱療法についてはこちら

鳥取大学動物医療センターについてはこちら

トピック15号「光とICG修飾リポソームを用いた次世代がん治療 」についてはこちら

動物のガン治療には、残念ながらゴールドスタンダードと呼べる方法は存在しません。それなら私たちが、動物治療にもヒトの治療法の適用可能性を追求し、またヒトの医療機関と最先端の研究に積極的に取り組むことで、治療法の可能性を拡げていきたい―
私たちのあくなき挑戦は、そんな強い使命感と共に、次なる目標を目指してこれからも続いていきます。