私たちがワンちゃんネコちゃんそしてご家族のためにできること

先進医療(随時更新中)

  • ともにがんと闘う
  • 失われた機能を取り戻す
  • メスを入れずに「通す」処置
  • 見えないものを「診る」技術
  • 全ては安心・安全のために
  • 先進医療へのあくなき探求

失われた機能を取り戻す~再生・整形医療の取り組み~

ケガや病気で運動機能を損なってしまったワンちゃん。
でも、できればまた元気に走る姿が見たい。

そんな飼い主様の想いに応えるために、
私たちは整形医療技術の向上に日々努めています。
また、これに加えて再生医療を積極的に取り入れ、
従来の整形医療と組合せた新しい治療法を追求しています。

失った機能を取り戻す。
そのために私たちが行っている取り組みをご紹介します。

再生医療

  • 事故や病気で失われた身体の組織を再生します
    当院では簡単な手術で皮膚の下にある脂肪や骨髄から幹細胞を採取し、培養した幹細胞を必要な部位に投与し、失われた組織を再生します。
  • 難治性骨折や関節疾患の治療で効果が認められました
    神経はもちろん、骨の再生以外にも関節疾患、椎間板ヘルニア、さらに肝臓疾患などにもこの治療を開始しています。
  • 副作用もほとんどなく安心して投与して頂けます
    自らの骨髄や脂肪から採取した幹細胞を移植するので、副作用の心配はほとんどありません。また培養した幹細胞を投与する際には細心の注意を払い、安全性を確保しています。

症例1  難治性骨折

5才のオスのワンちゃんの場合

【どのような症状?】

大型犬に咬まれて前足の骨の一部をなくした状態でした。

【治療方法は?】

整形外科で可能な手術方法を種々試みましたが、残念ながら骨を再生することができませんでした。
そこで幹細胞移植による骨の再生を試みたところ、2ヵ月後には骨の再生がレントゲン写真で確認されました。

【その後の経過は?】

5ヵ月後には骨の一部が癒合し、さらにその3ヵ月後にはギプスがほとんど無い状態で足を使えるようになりました。

以前のように元気に散歩ができようになりました。大けがを感じさせるような動きは、ほとんどありません。

症例2  関節炎

レントゲン透視装置によって、幹細胞を移植する部位を確認します。注射器で幹細胞を注入する方法なので、ワンちゃんの負担も最小限ですみます。

1才のオスのワンちゃんの場合

【どのような症状?】

肘関節の形成不全症のため、歩行が困難になっていました。

【治療方法は?】

関節の痛みを緩和する薬を使用していましたが、長期間の疼痛緩和を目的として、皮下脂肪から採取された幹細胞を関節に移植しました。

【その後の経過は?】

幹細胞移植後の経過は順調で、1年以上薬も与えることなく元気に過ごしています。

症例3  肝臓疾患

肝数値(GPT)の変化

幹細胞移植を開始してから肝臓の数値が改善している推移データです。

10才のオスのワンちゃんの場合

【どのような症状?】

門脈低形成という、肝臓の血管が十分に発達していないために、肝臓が悪くなる病気にかかっていました。

【治療方法は?】

この病気は現在の獣医学では治療の方法がなく、人間の医療でも難病とされています。私たちは肝臓の血管が正常化することを目的に幹細胞移植を行いました。

【その後の経過は?】

幹細胞移植を2週間ごとに6回行ったところ、それまで薬だけでは下がらなかった肝臓の数値が改善されました。現在も治療中です。

症例4  椎間板ヘルニア

矢印のところの脊髄神経が圧迫されていました。

10才のオスのワンちゃんの場合

【どのような症状?】

数年前に手術した椎間板ヘルニアが再発し、後ろ足が立たなくなった状態のまま、手術せずに2年が経過していました。

【治療方法は?】

この時点で腰から後ろの脊髄神経が委縮していたので、手術でヘルニアの部分の圧迫を取り除き、そこに幹細胞を移植しました。

【その後の経過は?】

当院にて月に一度リハビリを行い、後ろ足を使って立つことができるようになってきました。

時代をリードする、最新の整形医療

~整形医療への取り組み~

動物にとって運動機能は、万が一損なわれた場合にそのダメージは人間以上に深刻なものとなってしまいます。
そんな大切な機能を守るため、動物の整形医療は世界レベルで研究が積み重ねられ、日々進化を続けています。
当院は早くから整形外科を専門診療科として開設するなど、これまで国内の動物整形医療の先駆者として研究と実績を積み重ねてきました。その成果として、数々の優れた新しい治療方法等を積極的にいち早く取り入れてきています。
ここでは、そんな当院の新しい整形医療領域への取り組み例をいくつかご紹介します。

1. 前十字靭帯断裂に対する脛骨高平部水平骨切術(TPLO)

前十字靭帯断裂は、犬の関節疾患の中で代表的なもののひとつであり、大型犬から小型犬まで、ワンちゃん全般に発症の危険性があります。
発症すると歩行や運動に大きく支障をきたすのみならず、関節炎などの合併症を引き起こす恐れもあります。
このような前十字靭帯の損傷に対しては、1998年に当院院長らが論文にて報告した方法である、外科用のナイロン糸で関節の外側から安定させる手術法(外固定法)が、現在も一般的に用いられています。しかし、この方法では施術後の運動などの影響でせっかくの固定が緩んでしまうことが、特に体重の重い大型犬に見られることがありました。
そこで、新たに注目されているのが脛骨高平部水平骨切術(TPLO)という方法です。
この方法は、患部を固定して支えるという従来の方法とは考え方が異なり、膝関節の構造自体を適切に調整するという方法です。
具体的には、前十字靭帯が切れて不安定になった膝関節を、脛骨を少し切って最適な角度に変え、それをプレートで固定し、安定化させます。
この方法は再発率が少ないなどの点で優れているといわれており、また従来の方法に比べ関節炎の進行が遅くなるという利点も指摘され、大型犬の多い欧米では急速に普及が拡がっています。
国内でこの施術を受けられる機関はまだ少ないですが、当院ではいち早く本方法を取り入れており、米国で専門の講習を受けた獣医師が施術を行っています。

図

左後肢の前十時靭帯を損傷したラブラドールレトリーバーのTPLO施術後の写真です。
この例では、脚をかばいながら不自由に歩いていた術前の状態から、施術直後より体重をかけられる状態になりました。
その後2ヶ月程度安静に過ごした後、今では日常生活に支障のないレベルまで回復し、散歩も楽しんでいます。

2. LCP(ロッキング・コンプレッション・プレート)を用いた骨の整復固定

動物の骨折に対してはプレートによる固定が治療法としてよく使われます。しかし、プレートは骨を圧迫することから骨の血流を阻害するなどの弊害が考えられます。
これに対し、当院ではLCP(=locking compression plate)と呼ばれるプレートを主に用いています。
このLCPの特徴は、第一にプレートとスクリューが協力して最適な状態で骨を支えるシステムであるという点です。具体的にはプレートが骨を圧迫することなく強固に固定が可能で、また骨への負担も少ないということです。
第二に骨に接する面に溝が彫ってあることから、骨の血流を阻害しにくいというメリットがあります。
当院ではこのLCPをはじめとして、体にかかる負担をなるべく少なく、またより高い効果が期待できる新しい治療用具を積極的に取り入れております。施術も専門の講習を受けた獣医師が行います。

図

ソファから飛び降りた際に橈尺骨骨折を起こしたトイプードルにLCPを用いた施術後の写真です。
生後5ヶ月と若かったこともあって一か月後には骨が癒合し、骨の角度も正しい位置で固定されました。今では日常生活に問題はなく、元気に暮らしています。

3. 関節鏡を用いた整形施術

離断性骨軟骨症(=OCD)は、軟骨表面が欠ける病気です。欠けて生じた骨片が関節の間に挟まると痛みを生じます。
関節内部を調べる検査が必要ですが、関節の内側は狭いため、関節鏡が検査には有効です。実際に直接目で見るよりも詳細に関節内部を確認できます。
また、検査直後に、遊離した骨片を関節鏡で摘出することが可能です。
このように関節鏡を用いることで、検査から摘出までの体への負担や手間をトータルで小さくすることが可能となります。加えて関節鏡で確認しながら摘出を行うので、骨片を取り残すリスクを軽減できます。
国内ではこのような関節鏡を用いた整形施術を実施可能な病院はまだ数少ないですが、当院では早くからそのメリットに着目し、この方法を取り入れています。

図

関節鏡で撮った離断性骨軟骨症のラブラドールレトリーバーの関節内の写真です。
検査直後に遊離した骨片を関節鏡で摘出しました。
術前2ヶ月ほど前から左後肢を引きずりはじめ、その後だんだん症状が強くなっていましたが、術後は足に力をかけても痛がる様子はなくなりました。

このような先進的な方法や器具などを今後も積極的に取り入れ、有効に活用することで、より安全で、より質の高い整形医療を、大切なワンちゃんネコちゃんに提供する…。私たちはそんな思いと共に、これからも日々研究と努力を続けていきます。